為替レートその後
2026/08/08
2週前の本ブログで、為替レートの決定要因について、「もっともらしい」教科書的コメントをした矢先、「日米協調介入」というビックニュースが飛び込んできました。為替決定要因の一つ「購買力平価」などという「後付け」的なお話をしたことにとても恥ずかしさを感じています。為替レートを決定しているのは、「米国の事情」であることを、今回の日米協調介入を見て改めて認識させられます。
投資でも仕事でも、「誰が本当の主導権を握っているのか」を見極めることは非常に重要です。ドル円相場も同じです。表面上は円とドルの交換レートとして日々取引されていますが、その舵を大きく握っているのは、世界経済の中心にいる米国です。円安や円高に一喜一憂する前に、「今、米国は何を考え、どのような政策を取ろうとしているのか」という視点を持つだけで、マーケットの見方は大きく変わるはずです。
ドル円相場の歴史を見ると、為替レートはマーケットが需要と供給に従ってプライスを決めてきたというよりは、節目節目において「米国の政策によって大きな方向性が決められてきた」と考えらえます。特に戦後から現在までの大きな流れを見るとそれは明らかです。
戦後の日本経済を安定させるため、アメリカ主導のブレトンウッズ体制により、ドル円レートは米国により1ドル=360円に決められました。真偽は不明ですが、円の円周角が360度だからという理由で決められた、との話もあります。その後、米国がベトナム戦争で財政赤字が拡大し、ドル円の固定相場は停止され、1ドル308円を経て、変動相場制へと移行されます。1980年代に入ると、レーガン政権が高金利政策を進め、世界中のお金がドルに流れ込み、1ドル240円前後まで円安ドル高が進み、「日本ばかりが儲かっている」との不満が強まり、1985年に「ドルを安くしなければならない」と日本、西ドイツ、イギリス、フランスによる協調介入がニューヨークのプラザホテルで行われた、いわゆる「プラザ合意」により、驚くほどの円高が進みました。1988年には1ドル120円台まで円高が進みます。現在は表向きは変動相場制ですが、ドル/円を最も動かすのは依然として「アメリカの政治・経済」なのだ、と思われます。
今回の日米協調介入は28年ぶりになります。私は、一部報道でいわれるような「トランプ大統領が日本の円安を助けた」といったニュアンスは、本質を全く見誤った見方であると考えます。米国はあくまで自国の利益のためにしか動きません。ベッセント財務長官は、1990年代のアジア通貨危機の教訓を今回の協調介入の背景として説明しています。つまり今回の米国の介入は、「日本が円安で困っているから助ける」のではなく、「円安が行き過ぎて世界の金融秩序を揺さぶり、米国に悪い影響を与える前に動く」という意味合いを考えた方がよいと考えます。米国がドル/円レートをどのあたりが「相応しい」と考えているか、興味深く注視したいと思います。
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