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2026/10/11

大手転職サービス会社が、転職仲介で成約率を上げるために人工知能(AI)の活用を進めてきたが、アドバイザーを介在したほうが転職後の求職者の年収が高くなったケースが多いことから、今後はAIによるマッチングよりも、アドバイザーによるコンサルティング比率を高めるとの報道がありました。(10/8、日経新聞より)

 

代表挨拶にも書きましたように、私はサラリーマン時代に6回、転職を経験しています。6回のうち、2回がいわゆる「ヘッドハンター」経由の転職で、4回は直接の知り合いの方からの「引き」により転職をしています。今のようなAIの台頭がなかった時代のことなので比較対象にはならないかもしれませんが、転職経験者として「労働市場」の実態について思うことをお話しします。

 

労働市場は、需要側が「このようなスペックを持った人材が欲しい、報酬はこれくらい払います。」供給側が「私はこんなことができます、こんな顧客を持っています、このような条件で雇用されることを希望しています。」というように、具体的なニーズのマッチングによって成り立っているマーケットです。以前は「年齢」という要素も重要な条件になっていましたが、近年の労働市場においては、年齢よりも「今、何ができるか」により重点が置かれる傾向があるように思います。

 

このように需要側と供給側の「条件」がクリアになっているのであれば、あとはAIが最適なマッチングを行うことで、スムーズな価格形成ができるように見えます。ところが、ここには「情報の非対称性」の問題が存在します。企業は応募者の真の能力を十分には把握できませんし、労働者側も転職先の職場環境や将来性等を正確には知り得ません。このような不確実性は採用と転職の双方を慎重にさせ、本来成立するはずの雇用のマッチングを妨げます。

 

私は、実際に何社もの企業で働いてきて、「この人は何故こんなに安い給料でこの会社で働いているのだろう。(もったいない!)」反対に「この方は、どうしてこれほどの高給をもらうことができているのだろう。(ラッキーな方だ!)」といった、労働市場の非効率性を幾度となく目の当たりにしてきました。特に痛ましく思うのが、優秀な社員が、旧来型の終身雇用という幻想を担保にとられながら、「長期延払い」的な報酬体系の下、超格安な条件で雇用され続けている状況です。

 

冒頭の大手転職サービス会社の試みは、労働市場の「情報の非対称性」の障壁を低くして、日本の労働市場の効率化にいささかなれどもプラスの貢献をすることになるのでは、と期待します。

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